動物病院を法人化するメリットとデメリット
動物病院の法人化(法人成り)
現在、福岡、佐賀で個人で動物病院、獣医院、ペットクリニックを開業されている獣医師の先生方で、そろそろ会社設立して法人化を考え始めている方も多いのではないでしょうか?
動物病院の法人化・法人成りを考えるにあたって、様々な角度からの分析が必要となります。
今回は、その際のご参考として、動物病院・ペットクリニックの法人化のメリットとデメリットをまとめてみました。
動物病院の法人化メリット例
あくまで一例となりますが、動物病院、獣医師の法人化メリットは下記のものが挙げられます。
資金調達の容易化
法人化することで、出資や銀行融資などの方法により、より大きな資金を調達することが可能となります。
これにより、動物病院の設備や医療機器の更新、スタッフの研修・採用など、より充実した医療サービスを提供することができます。
責任の分散
動物病院の法人化により、個人的な責任を法人に移すことができます。
個人的な資産や財産が保護されるため、事業上のリスクが分散され、個人的な経済的リスクを軽減することができます。
組織の継続性
法人は、個人に比べて長期的な組織の継続性を持ちます。
個人の動物病院の場合、事業承継の問題が大きくのしかかります。
法人化した場合には、経営者が引退や亡くなった場合でも、法人として存続し、医療サービスを提供し続けることが可能です。
専門性の活用
法人化により、採用に有利になったり、経営のプロフェッショナルや専門知識を持つメンバーを経営陣に迎え入れやすくなります。
彼らの助言や経験を活用することで、経営の効率化や収益性の向上を図ることができます。
税務上の優遇措置
法人としての病院は、個人経営者と比較して、税制上の優遇措置を享受することができます。法人税率を活用したり、一部の経費が控除可能である場合があります。これにより、税金負担を軽減し、利益を最大化することができます。
動物病院の法人化のデメリット
動物病院の法人化には、当然ながら、デメリットも存在します。下記は一例となります。
経営の複雑化:
法人化には、煩雑な手続きや法的要件が伴います。会社設立や登記、財務報告などの繁雑な業務を遂行する必要があります。これにより、経営者やスタッフはこれらの業務に時間やリソースを割かなければならず、医療業務に集中できなくなる可能性があります。
責任の所在の不明確さ
法人化により、個人の責任が薄れる一方で、組織としての責任が強調されることがあります。
医療ミスや訴訟などのトラブルが発生した場合、個人的な責任が明確になりにくくなる可能性があります。
意思決定の遅延
法人化により、組織の意思決定プロセスが複雑化する場合があります。
意思決定には取締役会や株主総会などの手続きが必要となり、組織内での合意形成に時間を要することがあります。迅速な対応や柔軟な経営が求められる医療業界では、意思決定の遅延は問題となる可能性があります。
株主の利益追求
法人化により、株主が経営に参画することが増えるため、利益追求の圧力が高まることがあります。医療の質や倫理的な観点から考えると、患者の利益や動物の福祉を最優先にするべきですが、利益追求が優先される場合、医療倫理に反する結果をもたらす可能性があります。
組織文化の変化
個人経営から法人化へ移行することで、組織文化が変化する可能性があります。組織の目的や価値観、働き方が変わることで、スタッフや患者との関係に影響が出るかもしれません。
組織文化の変化がスタッフのモチベーションや患者の信頼に悪影響を与える可能性も考慮する必要があります。