会社設立時で決まる!税金を減らす決算月の設定方法
会社設立時の節税対策
会社設立をする時には、誰しもが最も有利な形で新たな会社をスタートしたいと思うことでしょう。ただし、会社を設立する際には、いろいろと決めることや検討しなければならないことが多くて、なかなか節税まで手が回らないことが多いかもしれません。今回のトピックでは、そのようなお悩みの中で多い会社設立の際に注意したい消費税に関する節税策を中心に記載してみたいと思います。
消費税の免税期間に注意
会社設立にあたっては、定款にいろいろな事項を盛り込むことが必要となります。例えば、事業目的、資本金、株主、取締役などといったこと細かな内容が挙げられます。さらに、会社の決算を行う決算月(事業年度)も決めることが求められます。
なお、この決算月については、ビジネス面の必要性を含めて様々な観点から決めるべきものです。例えば、決算日が繁忙期に重ならないよう設定することもよく言われることです。
ただし、税金の視点から言えば、会社設立時の最初の事業年度ができるだけ長くなるように決めるといった視点が重要視されます。この考え方に基づくと、会社設立して以降しばらくの間決算を意識する悩みから解放され、事業経営に集中することができます。また、以下で述べるように消費税の節税といった視点からも、会社設立後の最初の事業年度を長めにとると良いでしょう。
消費税の視点からの決算月決定
資本金(出資金)が一千万円以上の法人を除き、会社設立時の消費税については基準期間の課税売上高がないことにより、会社設立時の事業年度と翌事業年度は、原則、消費税の免税事業者となります。
一般的な創業のケース(資本金1000万円未満の起業)では、会社設立した後の最長2年間は、消費税の納税は免除されることが多いのです。
基準期間における課税売上高とは、下記のように規定されています。
個人事業者の場合は原則として前々年の課税売上高のことをいい、法人の場合は原則として前々事業年度の課税売上高のことをいいます。
(出典) 国税庁ウェブサイト・タックスアンサー「納税義務の免除」
ただし、注意点としては、消費税の課税事業者を判定するのは上述した「基準期間」だけでないということに意識を向ける必要があります。いわゆる「特定期間」の課税売上高等で判定するケースもあるのです。
特定期間とは、原則、その事業年度の前年事業年度(設立一期)で、前事業年度開始から6か月の期間を言います。その期間の課税売上高が1,000万円を超え、また給与等の支払いが1,000万円を超えていれば、その事業年度は課税事業者となり、消費税の納税義務を負うことになります。
(出典) 国税庁ウェブサイト・質疑応答事例「特定期間の判定」
会社設立の一年目から売上増長、業績向上が期待できる法人や個人事業主からの法人成りのケースでは、特定期間があることで、基準期間だけを考えれば翌期は免税事業者となりえたにもかかわらず、特定期間の存在により課税事業者となってしまうケースも考えられます。
基準期間と特定期間といったお話は、混同しやすいので、その定義をしっかりと確認しておきましょう。
特定期間を踏まえた決算月決定
特定期間による消費税課税という点について、会社設立時にどのように対応すべきかご存知でしょうか。これに対しては、いわゆる特定期間の定義をよくよく見返してみることが重要です。
特定期間の要件を満たさない形で会社設立することも消費税の節税を考える上では重要です。すなわち、会社設立第一期の事業年度を「短期事業年度」になるように設定することです。
短期事業年度とは、
- 設立一期の事業年度が7か月以下の場合、
- 設立一期の事業年度が7か月を超え8か月未満の場合であって、設立一期開始の日以後6か月の期間の末日の翌日からその事業年度終了の日までの期間が2か月未満の場合
これらの期間は、特定期間から除外されています。
なお、設立一期の後半で、特定期間の存在に気づいたときは、上記2の要件を満たすように決算期を変更することで翌期に課税事業者となることを回避できる場合もあります。
いかがでしたか。専門的な内容を含んでいたので少し難しい話かもしれません。会社設立の消費税については、消費税課税に関する専門的な視点も必要となります。難しいと感じた方は、お気軽に会社設立相談室へご相談下さい。