起業を目指す人に朗報!会社設立スピード化へ

会社設立手続きのスピード化へ

これから会社設立する方でご存知の方も多いかもしれませんが、「起業申請 ネットで完結」というニュース記事が掲載されていました。

 

「法人番号」の活用により、会社設立に関する申請手続きがこれまでよりスピーディーに行えるようになる見込みとの記事ですが、その詳細状況を調べてみました。

 

今後会社設立を検討されている方はメリットを享受できるかもしれません。

会社設立手続き

ニュース記事の内容とは

上記記事によると、

「総務省や法務省などは『法人番号』を活用し、会社設立の申請手続きをインターネット上で完結させるシステムの開発に乗り出す。2019年にも実現の見込み。このサービスがスタートすると、法務局で登記申請をした登記事項が『法人番号』の活用により、税務署とハローワークにも共有されるため、別途必要書類を提出する必要がなくなる。現状では1週間~10日ほどかかっている手続き完了が、3日程度になる。」

とのことでした。会社設立手続きについては、一部インターネット上で手続きを代行してくれるサービスが登場していますが、政府による電子化の動きで今後、ますますその動きが広がっていくかもしれません。

現在制度設計中か

「起業申請、ネットで完結」に関する報道について調査したところ、現時点では2020年(平成32年)のサービス開始を目標としているようです。法人番号を活用し、『登記事項証明書の添付を省略する』ことも視野に、法務省、総務省、厚生労働省で、情報連携を図るためのシステム的な面の課題や、制度的な面の調整や情報収集をしている段階のようです。

 

また後述しますが、現状の会社設立手続きにおいては、法務局で法人登記をした後は、「税務署」に加え、「都道府県の県税事務所」や「市区町村」、「年金事務所」でも書類の提出が求められます。例えば、県税務事務所と市区町村への提出とは、福岡市中央区に会社設立した場合、福岡税務署の他、西福岡県税事務所、福岡市役所にも法人設置の届出書を提出しなければならないといったことです。さらに従業員を雇った場合には、「労働基準監督署」と「ハローワーク」でも必要書類を提出しなくてはなりません。

 

会社設立手続きのうち、どこまでがカバーされるかについて調査したところ、福岡県などの都道府県庁や福岡市などの市区町村への手続きについては、これまで通りとなる可能性もあるようです。もちろん、上記の会社設立手続きの電子化の動きの中で、都道府県や市町村での手続きも変更されるかもしれません。

「法人番号」って何だっけ?

さてここで、制度が始まって久しい「法人番号制度」について、復習しましょう。
個人に対する個人番号を付与する「マイナンバー」制度が始まりましたが、それと同時に、企業や地方公共団体などに13桁の番号を割り振って管理する「法人番号制度」も、実は始まっていました。

 

税務署などへの提出書類に、この法人番号の記載欄が設けられたため、税務関係の仕事に携わる人にとっては常識の1つとなりましたが、一般的にはまだ浸透していないかもしれません。

 

では法人番号のメリットとは?

法人番号は、、国税庁の「法人番号公表サイト」では、誰でも簡単にその法人番号を検索、確認できます。つまり、一般に公開されています。

 

個人向けの「マイナンバー」制度は活用範囲に制限がありますが、「法人番号」は利活用に制限がありません。

また「法人番号」の導入メリットとして、国税庁のサイトには、「行政の効率化、企業の事務負担軽減、新たな価値の創出」などが列挙されています。

 

「ネットで完結」するのは、どの部分か?

では改めて、会社設立の際に必要な、主な手続きをざっとおさらいしてみます。このうち、どの手続きが短縮化されるかを考えてみましょう。

①「会社名の決定」、「会社印の発注」
②「交渉人役場での定款認証」
③「銀行での資本金の払込」
④「法務局への登記申請」

⑤「税務署」で書類提出 ★
(「法人設立届出書」「青色申告の承認申請書」「給与支払事務所等の開設届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」など、数種類の書類の記入と、その添付書類として「定款の写し」や「登記事項証明書(または「登記簿謄本」)」などが必要)

⑥「都道府県税事務所」で書類提出
(福岡県税事務所の場合は「法人設立(設置)届」。「定款の写し」と「登記簿謄本」を添付。)

⑦「市区町村役場」で書類提出
(福岡市の場合は、「法人市民税に係る法人等の設立申告書・異動の届出書」)

⑧「年金事務所」で書類提出 ★
(「健康保険・厚生年金保険新規適用届」と「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届さらに必要に応じて「健康保険被扶養者(異動)届」も)の提出が必要。)

この他、自分が社長となって1人で起業する場合には不要ですが、1人でも従業員を雇う場合には、次のような書類を提出しなければなりません。

⑨「労働基準監督署」で書類提出 ★
(「労働保険 保険関係成立届」と「労働保険 概算保険料申告書」)

⑩「ハローワーク」で書類提出 ★
(「雇用保険 適用事業所設置届」と「雇用保険 被保険者資格取得届」)
今回報じられたサービスが実現されれば、上記必要書類の提出手続きのうち、★を付した手続きなど、いくつかの手間が省かれることになるかもしれません。少なくとも「登記事項証明書の添付が省略」されるだけでも、手間と時間が省けます。数年後に独立開業を目指す方にとっては、ありがたいサービスとなりえるでしょう。