レンタルオフィスの進化系!?「バーチャルオフィス」の実態とは?

「起業の際の初期投資を抑えたい!」という起業家たちの間で、バーチャルオフィスへのニーズが高まっています。

福岡市博多

 

「バーチャルオフィス」とは?

「バーチャル(virtual)」とは、元々「仮想的、疑似的」を表す言葉ですが、「バーチャルオフィス」と聞いて、皆さんは、どんなオフィスを想像するでしょうか?

「インターンネット上の仮想空間に、擬似的に設けるオフィス」、はたまた、「いかがわしいペーパーカンパニー」を想像する方も多いかもしれません。

しかし実際は「会社設立時の登記に使える住所」や「電話や郵便物受け取りの代行サービス」を提供してくれる、言わば、レンタルオフィスの進化系のようなものです。

「パソコンと携帯電話さえあれば、自分の身一つでどこでも仕事ができる」という起業家にとっては、今や、レンタルオフィスを借りる為の毎月の賃貸料すら、できるだけ抑えたい費用の1つです。そうした起業家らの為に、「実際にはオフィスを構えなくとも、設立時に必要な登記用の住所を貸してくれ、さらに、電話応対や郵便物の受け取りも代行してくれる」のが、バーチャルオフィスのサービスなのです。

特に女性起業家らにとっては、自宅を会社住所として公開することなく登記できるとして、好評なようです。

福岡のバーチャルオフィスの実態

天神西通りの、アップルストアに程近い雑居ビル。バーチャルオフィスを全国展開する某企業が、この雑居ビルの2つのフロアーの各一室に、事務所とお洒落な貸会議室を構えています。
この企業では、5年ほど前から、東京や大阪、名古屋、札幌など、全国の主要都市でこの事業を始め、福岡には、半年程前に開設しました。

利用者は、毎月数千円~数万円の複数のコースの中から1つを選び、その月額料を支払うことで、「登記にも使える福岡市天神の住所が貸与」され、かつ、「電話や来客対応(平日の9~17時)」や「郵便物とファックスの受け取り、転送の代行」のサービス、そして「同ビル10階の貸会議室」などを利用できます。

開設からまだ半年ながら、既に30もの契約があり、利用者の中には、「仕事のほとんどを、福岡市外の自宅で行っているが、会社としては『天神』の住所を使うことで、顧客の信用を高めたい」とか、「既に東京で行っている事業を、新たに福岡でも展開するのに、天神の住所を使いたい」といった契約者の他、「レンタルオフィスを借りてきたが、今後は固定費を抑えたいので、バーチャルオフィスに乗り換えたい」といった方もいるのだそうです。

 

登記用の住所のカラクリは?

ここで疑問なのが、「利用者に貸与される、福岡市天神の登記用住所」のカラクリ。その実態は、現在契約している、およそ30の法人や個人は、全て「このバーチャルオフィスの運営企業の事務所がある、福岡市天神の同ビルの入るフロアーの住所」で登記されています。つまり、「全ての契約者が、全く同じ住所を共有し、会社住所として登記している」ということになり、法的にも問題がないのだそうです。

ただし落とし穴もあります。仮に契約者の1人が違法な事業を行った場合に、同じ住所で登記をしている他の契約者にとっては、自分の事業の信用を落としかねない、というリスクがあるからです。

そこで当バーチャルオフィスでは、利用者との契約時に、一定の審査基準を設け、そうした事態が起こりえないように配慮しています。

 

その他のデメリットはないのか?

この他、まだまだ耳慣れない「バーチャルオフィス」とあって、デメリットもあります。起業時に銀行で法人名義の口座を開設しようとする際、銀行側から「ペーパーカンパニーなのでは・・・」と疑われ、口座開設がしにくいケースがあるのです。

このバーチャルオフィスの運営企業によると、「確かに一部の都市銀行などでは、口座開設を断られるケースもあるそうですが、実際には、銀行からの審査に耐えうる自己経歴書や事業計画書、取引先との契約書やホームページの資料等を持参し説明することで、他の一般的な事業者と同様に、問題なく法人口座は開設できる」そうです。

実際、このバーチャルオフィスの契約者の多くも、地元の地銀等で、問題なく法人口座を開設しているそうで、こうした銀行での審査の際には、「他の契約者とオフィスを共用する、バーチャルオフィスである」ということを、素直に申告することも大切なポイントです。

 

バーチャルオフィスを利用、選ぶ際の注意点は?

ここまで紹介した事例以外にも、博多駅周辺のビルなどを拠点にバーチャルオフィスを展開する企業もあり、登記用の住所の貸出や、電話応対代行など、同様のサービスを提供しています。

「レンタルオフィスの賃貸料を支払うことなく、福岡の一等地の住所や貸会議室を利用できる」として、ニーズが高まりつつあるバーチャルオフィス。

ただし利用する際には、「自分が会社住所として登記しようとしている住所が、過去に違法行為などに巻き込まれたことがないかを確認する」など、そのメリットやデメリットを自分自身でしっかりと判断することが必要なようです。